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苦楽園のアメカジショップ店主 地元コラボを通して地域活性化に挑む

「ラット★レース」店頭で店主・小川尚久さん

「ラット★レース」店頭で店主・小川尚久さん

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 終息が見えないコロナ禍に各商店が厳しい状況を強いられる中、苦楽園のアメカジショップ「RAT★RACE(ラットレース)」(西宮市菊谷町、TEL 0798-70-0855)の店主・小川尚久さんが地元商店と共に街の活性化に取り組んでいる。

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 苦楽園で生まれ育った小川さんは大学卒業後、ロサンゼルスに留学し、帰国後、神戸のアパレル企業に就職。ニューヨークでのバイヤー経験を生かし2000(平成12)年、友人との共同経営でラットレース1号店を阪神香櫨園に構え、2010(平成22)年、苦楽園口駅前に構える2号店と集約して徒歩4分離れた現在地へ移転した。しかし、近隣へあいさつした際、10年続けた店のことを知る人はいなかった。「自分の商売だけを考え、地域と全く交流していなかった」ことに気付いた小川さんは自主的に夙川の清掃を始め、越木岩神社のだんじりなど地域行事の手伝いにも積極的に参加するようになった。

  「苦楽園を知ってもらおう、来てもらおう」との思いから考案した苦楽園の地名入りの同店オリジナルTシャツは12年目を迎える。地域店舗と協力して催したイベントを仕掛けたことで苦楽園への集客につなげるツールとなり、テレビ・ラジオでも「ご当地Tシャツ」として紹介され、苦楽園の知名度アップに貢献している。「1歳から90歳まで幅広い世代が着てくれているのが自慢。何より地元で着てくれる人が増えたことがうれしい」と小川さん。販売当初から毎年新作を出す同Tシャツは、今では引っ越しシーズンに思い出としても求められているという。

 開店20年の節目を迎えた昨年、予期せぬコロナ禍に「かつてない危機感を感じた」という厳しい状況の中、4月に「給付Tシャツ」として新作Tシャツを子どもたちにプレゼントし、5月には同店ロゴ入りの「善意の傘」100本を作り地域26店舗に置いてもらった。「これは20周年のお返し。善意の傘は近い将来1万本にして、商店だけでなく銀行や医院にも置いてもらい、傘を持たずに歩ける街にしたい」とも。

 今年2月には、沖縄のピリ辛ソース「ハイサイソース」の製造元とコラボして苦楽園の地名と同店ロゴを加えたオリジナルラベルの「RAT SAUCE(ラットソース)」(880円)を商品化。「コロナで苦しむ沖縄と苦楽園がお互いを知り、助け合う機会になれば」という小川さんの思いが広がり、近隣店舗やスポーツジムでも販売している。苦楽園口駅前のカフェ「BILLY’S CUP」では、このソースを使った「ラットドッグ」(693円)を開発。こうした地域他店とのコラボ商品は、他にもオリジナルクッキーやコーヒー、ハンバーガーなどに及ぶ。

 小川さんがメンバーとして参加する地元苦楽園商店会は「苦楽園ストアーズミーティング」を立ち上げ、「コロナと向き合う新型・苦楽園」として一丸となって取り組んでいる。「横のつながりがないのは駄目。自分が動き、困っている人を助けることが大切。ラットレース元気だな、苦楽園は頑張っているな、絆が深い街だなと思ってもらい、西宮一、日本一の街を目指している。これからも何か仕掛けたい。今年のTシャツ(4,400円)は5月上旬に発売予定。新デザインはお楽しみに」と笑顔で話す。

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