阪神甲子園球場(西宮市甲子園町)が8月1日、開設から90周年を迎えた。
同球場の開設は1924(大正13)年。建設は阪神電鉄。兵庫県の求めに応じ410万円(当時)で払い下げを受けた22万4000坪に及ぶ開発地の一角を敷地に選んだ。敷地面積は1万2000坪。米国式スタジアムでは国内初の施設とされる。
開発地は元河川敷。現在の西宮市と尼崎市の境を流れる武庫川の支流「枝川」「申川」の流路そのままの南北に細長い形状とあって、当初は買い手がつかなかったという。同電鉄では、東西に延びる線路の北側を住宅地として整備。南側はレクリエーション施設などを集める行楽地とし、球場の敷地は線路のすぐ南側に定めた。開発地一帯の名称は、同年が十干(じっかん)と十二支の組み合わせで「甲子(きのえね)」に当たることから「甲子園」と命名。球場脇には臨時駅(当初)として「甲子園駅」を新たに設けた。
甲子園一帯のシンボルとされ、プロ野球「阪神タイガース」のホームグラウンドとして知られる同球場は、現在の「夏の甲子園」にあたる全国中等学校野球選手権大会の開催を目的に計画。初開催の第10回大会(1924年)では、前年優勝の地元・甲陽学院中(旧制)主将が優勝旗を掲げ選手入場行進の先頭を務めた。太平洋戦争中の中断を挟んで同大会は、学制改革を受け1948(昭和23)年に「全国高等学校選手権大会」と改称。今年が第96回大会になる。
今年の開会式は8月9日。学制改革で中高一貫の男子校になった現・甲陽学院高の西田壮汰主将が90年前の縁で入場行進を先導する。今夏の同校は、初戦から勝ち上がった2回戦で惜しくも敗退。チームメートを代表しての球場入りとなる。始球式での投手役は、1927(昭和2)年東北地方勢として「夏の甲子園」初勝利を上げた福岡高(岩手県、当時は福岡中)の柳畑洸太主将が務める予定。対戦校を決める組み合わせ抽選会は6日で、球児代表として宣誓する選手の抽選も併せて行う。
決勝戦と閉会式は今月23日の予定。