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冬の風物詩「西宮蔵開」 コロナ禍の今年は試飲・飲食無し、販売のみで

錦絵「新酒番舩祝図」と菰冠の前で西宮観光協会事務局長の前川英三さん

錦絵「新酒番舩祝図」と菰冠の前で西宮観光協会事務局長の前川英三さん

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冬の風物詩として定着していた「西宮蔵開(くらびらき)」が、コロナ禍のためやむなく中止になり、代替イベントとして、試飲・飲食無し、販売のみの「西宮蔵出(くらだし)」が3月13日、六湛寺公園(西宮市六湛寺町)で行われ、1500人余りが来場した。

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昨年はコロナ感染予防のため、予定していた日本盛、大関、白鷹の開催が急きょ中止に。同イベントも、当初は2月13日に予定していたが、緊急事態宣言延長のため1カ月延期の開催となった。「2015年から6年続く『蔵開』の火を消さないよう、『蔵出』という代替イベントとなったが、10時の開始と同時に大勢の方にお越しいただき、行列ができるほどのにぎわいだった」と西宮観光協会事務局長の前川英三さん。

会場には、江戸時代の絵師・国貞によって描かれた錦絵「新酒番舩祝図」を拡大し、横幅7メートルに仕立てた大看板と、祝いの席に使う「菰冠(こもかぶり=酒だる)」を設置。西宮市中央図書館(郷土資料館併設)所蔵のこの錦絵は、江戸時代に新酒を一番に江戸に届けたたる廻船(新酒番舩)を祝い描かれたもの。「大阪8軒、西宮6軒のたる廻船問屋から一隻ずつ参加し江戸を目指した。一番になると船頭には金一封が与えられ、この勝負の時にその年の酒相場が決まるため、酒造関係者にとって大切な行事だった」という。

同協会事業課長の大野穣一さんは「昨年初めには、一度はオンラインイベントを考えたが、果たしてどこまで満足度を提供できるだろうかと検討し、コロナ禍ながら何とか皆さまに満足いただける方法を模索した。酒蔵が丹精込めて醸した今回だけの限定酒を用意し、皆さまに自宅でじっくり楽しんでいただこうと各酒蔵が工夫を凝らした。来年、コロナが改善されれば、元通りに西宮蔵開を開きたい。その際は各酒蔵を訪れていただき、じっくり試飲して好きな酒を買い求めていただければ」と呼び掛ける。

搾りたて限定酒は、各酒蔵のアンテナショップとECサイトでも販売している。

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