香櫨園の西宮回生病院(西宮市大浜町)で7月4日、取り壊しが決まった本館を一般に開放する見学会が開かれる。
同病院の創立は1907(明治40)年。取り壊しが決まった本館は、戦災を免れるなど当時の面影を残してきたが、1995年の阪神淡路大震災で一部が被災。同病院が補修などを行いながら保存を図ってきたものの、及ばなかった。
同病院は、1945(昭和20)年6月の「東神戸空襲」で母を亡くした兄・清太と妹・節子を描いた小説「火垂るの墓」(作=野坂昭如)が舞台の一つにしていることで知られる。母の惨死を妹に知られたくなかった兄は、「(母は)空襲のけがで回生病院に入院している」とし、事実を隠した。
同小説が原作のアニメ映画では、兄が妹を香櫨園付近と見られる海岸へ海水浴に連れて行くシーンの背景で、精密に描かれた本館・正面玄関付近の様子を見ることができる。
院長の井上馨さんは「最後の姿。多くの人に、ぜひ見ていただきたい」と話す。
開放時間は14時~17時。