高野山真言宗六甲山鷲林寺(西宮市鷲林寺町)住職の藤原栄善さんが音楽家の渋谷慶一郎さんと共にドバイに渡り、12月9日、コンサートを開いた。
ドバイ万博「ジャパンデー」での文化イベントとして、アンドロイド、仏教音楽、ドバイオーケストラがコラボレーションする渋谷さんの新作アンドロイドオペラ「Mirror」に、高野山に伝わる仏教音楽である声明(しょうみょう)で参加予定だった藤原さん。しかし、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の影響で中止になった。
「渋谷さんと高野山で出会って4年。電子音楽と声明の演奏をオーストリア、アメリカなど各国でコラボレーションしてきた。アンドロイドと現地のオーケストラが加わっての演奏は初めてのこと。絶対に合うはずがないジャンル同士が、実は素晴らしいハーモニーを醸し出すことができる。同じように人類みんなが仲良くできるはず。音楽と宗教の力で世界平和と幸せを祈る予定だった」と藤原さん。
中止を知った渋谷さんのドバイ在住友人からの誘いで、急きょドバイに向かった。ドバイの友人宅の庭で100人以上が集まる中、約1時間にわたりドバイ万博で発表する予定だった曲を中心に披露した。
「私の声明と渋谷さんのピアノ演奏で9曲を現地で披露できた。地元ドバイの人々は中止をとても惜しみ、上演を望んでいる。渋谷さんが約1年という制作時間を費やしたオペラは、ドバイ万博のテーマ『心をつないで未来を創る』にふさわしい作品。意義ある異色コラボレーションが会期中に実現できるよう願っている」と言う。