西宮近郊で採れた野菜やパン・菓子を販売するイベント「にしのみやノーラマルシェ~つながる小さな経済圏 お気に入りを探そう~」が1月11日、六湛寺公園(西宮市六湛寺町)で開催された。「西宮市内で、食や農を通して自分たちの暮らしや身の回りのことに目を向け、少しずつ政治やまちづくりに一人一人が主体的になるような活動をしたい」と「にしのみやを農(たがや)すプロジェクト実行委員会」が主催する。
「楽しく、気軽に、目に見える形で、西宮の生産者と消費者がつながり、食と農について考えるきっかけをつくること」を目標とする同イベントには11店が出店。野菜や菓子・パンなど生産者との対面販売のほか、環境学習パネルの展示、草花遊びや生き物探しなどの子ども向けのワークショップ、ぬか漬け体験、フリーマーケットを展開。通りすがりに立ち寄ったという50代の夫婦は「えべっさんに行く途中だったが、野菜が目に入ったから立ち寄ってみた。生産者の顔が見える販売は安心できてうれしい」と笑顔で話していた。
「昨年2月ごろから企画を立てていたが、農家に声を掛けてもすでに販売ルートができていて、消費者とじかにつながる意義を知ってもらうことに苦心した。昨夏に実現させたかったが、コロナの影響もあり今回ようやく実現できた」と話すのは同実行委員の坂口裕子さん。阪神淡路大震災のボランティア活動など、いくつかの市民活動に参加する中で、人間関係の希薄さや自分自身の体を作る食に対する思いも希薄化しているように感じたという。「どこの誰が作り、どこを流通してきたのか考える余裕もなく生活していることが、子どもたちにどんな影響を及ぼしていくのかなど、考えることがたくさん出てきた。西宮市の中で広く市民がつながり、そうしたことを語り合う場を作れたらと。これからも、家族で参加できる楽しい休日の過ごし方のできる場を作っていきたい」という。
かつてNGOの環境教育プロジェクト現地駐在員として2年間ネパールに住んでいた同実行委員の田中十紀恵さんは「ネパールでは、オーガニック野菜を入手できるファーマーズマーケットが定期的に開かれ、生産者と会話しながらゆったり買い物できる経験が楽しかった。帰国後、身近にそうした場が作れたらと考えていた。今回は亀岡や丹波から親しくしている農家の方々が応援に来てくれたが、船坂では急な寒波で作物が凍っていたという。自然相手なので突然出品できなくなる状況があることも勉強になった。次回は農家の生産時期に合わせて、夏に開催できれば」と意欲を見せる。