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阪神・淡路大震災への思いを投影 宝塚・武庫川の中州で「生」の石積みオブジェ再現

武庫川の中州に積み上げられた11代目の「生」のオブジェ

武庫川の中州に積み上げられた11代目の「生」のオブジェ

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 阪神・淡路大震災の記憶をつなぎ、命の大切さを伝えていく「生」の石積みオブジェの制作が12月5日・6日、宝塚を流れる武庫川の中州で行われた。2日間で親子連れなど延べ約170人の市民らが参加し、それぞれの「生」への思いを込めながら石を積み上げた。

阪神・淡路大震災への思いを投影  「生」の石積みオブジェ再現

 オブジェの大きさは、縦約20メートル、横約10メートル。最初は震災から10年後の2005(平成17)年、宝塚市在住の現代美術家、大野良平さんが「街と人の心の再生」を願い、宝塚大橋南詰の西側に制作した。

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 オブジェは一度修復された後、流出して失われたが、2008(平成20)年に出版された有川ひろさんの小説「阪急電車」に登場して有名となった。小説の映画化を機に2010(平成22)年、市民らの手でオブジェを制作(再現)する「記憶の中の『生』再現プロジェクト」(代表=大野さん)がスタートし、2代目のオブジェが作られた。

 その後、川の増水で流されても、毎年夏と冬に修復や制作を繰り返してきた。2018(平成30)年12月に10代目のオブジェが作られたが、今年7月の大雨でほぼ消失。11代目を制作することになったが、コロナ禍のため夏の作業は中止に。「今回の開催も迷った」と言うが、「『生』の石積みは『生き続けていく』というメッセージが含まれている。心の表現まで自粛していいのか」(大野さん)と考え、実施することにした。

 6日の作業で参加者は石を積み上げた後、石に「生きる」「夢」「感謝」などの思いを筆で書いていった。「コロナに負けるな」「普通の生活」と書いた参加者も。小学1年の長女と一緒に初めて参加したという宝塚市内の女性は「新型コロナで大変なので、普通の生活に戻れたらと思いながら積んだ」と話していた。

 オブジェは阪神・淡路大震災から26年となる2021年1月17日の前夜、追悼行事でライトアップする予定。大野さんは「震災の体験は人によって違うが、その思いを『生』の石に投影することが心の浄化につながるのでは。ライトアップでは、それぞれの『生』と向き合って、命の大切さを感じてほしい」と期待を込める。