元高校球児の夢の実現を目指す大人の甲子園大会「マスターズ甲子園2021」が12月4日・5日、阪神甲子園球場(西宮市甲子園町)で開催された。
18回目となる今大会では、各地方予選大会を勝ち抜いたOBチームや各都道府県を代表する選抜チームの結成により出場が決定した18チーム、総勢827人の「元高校球児」が集結した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い大会が中止となり、今年は感染症対策を取り無観客試合(各チーム同伴者のみ入場可)で開催した。
今年の甲子園本大会出場校は、広陵(広島県代表)、新湊・高岡向陵(富山県代表)、能代(秋田県代表)、御所実業(奈良県代表)、三重(三重県代表)、三本松(香川県代表)、今治北(愛媛県代表)、小松島(徳島県代表)、修得(東京都代表)、天王寺(大阪府代表)、大津(熊本県代表)、札幌大有斗(北海道代表)、滝川第二(兵庫県代表)、中部大春日丘(愛知県代表)、松商学園(長野県代表)の15チームと、神奈川県選抜、宮崎県選抜、埼玉県選抜の3チームが出場した。
出場選手の多くは、夢見た甲子園でのプレーをかなえられずに高校最後の夏を終えた大人たち。現役高校生とOBの両チーム合わせて初の甲子園出場となった中部大春日丘の濱口達也さんは「他校の試合を見ていると、だんだん(甲子園へ出場する)実感が湧いてきた。同世代では自分だけがマスターズ甲子園へ出場しているので、同級生から『頑張れよ』とDMが届いた。負けてしまったけど、いい試合が見せられたのでは」と満面の笑みで振り返る。
母校のユニホームに袖を通してマスターズ甲子園出場を目指すのは、全てが一般人というわけではない。能代からは元阪急ブレーブスの山田久志さん、元オリックス・ブレーブスの高橋功一さん、埼玉県選抜からは浦和学院のユニホームを着用した元埼玉西武ライオンズの石井義人さんなど、プロ野球を引退した「元高校球児」も今大会で躍動した。
能代の先発マウンドに立った山田久志さんは、阪急ブレーブス黄金期を支えたサブマリン投法で相手打者を三振に仕留めた。試合後には「素晴らしい経験をさせてもらった。現役(高校球児)のときに投げたかった」と笑顔で語った。