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西宮舞台に震災を語り継ぐ映画「にしきたショパン」 4カ国の国際映画賞受賞

プロデューサーの近藤修平さん

プロデューサーの近藤修平さん

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 西宮発の自主制作映画「にしきたショパン」が、ミラノ国際映画祭で作品賞、監督賞、脚本賞、作曲賞、編集賞にノミネートされたほか、ベルギー、コソボ、テネシーの国際映画祭でも次々と受賞を重ね、日本芸術センター第12回映像グランプリでも脚本賞を受賞した。

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 西宮市民の協力とクラウドファンディングを募り、「阪神淡路大震災の記憶を語り継ぎ、左手のピアニストを応援する」ことを掲げた長編映画で、ピアニストを目指す若い男女が試練に立ち向かう姿が描かれている。

 同作品は、プロデューサーの近藤修平さんが東日本大震災の復興支援作品募集に、「頑張って1つのことをやり続けていたら、またいいこともある」というメッセージを込めて書いた「マスター先生」を原作に、監督の竹本祥乃さんが脚本を手掛けた。

 きっかけは、竹本さんが近藤さんの母親が営む喫茶店「ハッセルハウス」を映画のロケーションに使わせてほしいと訪れたことに始まる。竹本さんの過去の作品を見て感動した近藤さんが「マスター先生」の本を手渡すと、「映画にしますか」という話になり、その後、幾度も話し合いを重ねて脚本が完成。「人は自然災害や身体の困難を乗り越える力を持っているという、2本の柱で構成している」と近藤さん。

 映画を作ると決まった時から、近藤さんにプロデューサーとしての試練が始まった。「どのレベルの映画を作るのか」「予算はいくら必要か」「物語にふさわしいキャストは集まるのか」「高校生役と4年後を演じられるのか」「遜色なくピアノが弾けるのか」など、不安でいっぱいの日々が続いたという。エキストラ募集では、ロータリークラブや神戸女学院OG、クラウドファンディング支援者などに声を掛け、西北周辺や夙川公園、県立西宮高校、神戸女学院などのロケ地は1カ所ずつ交渉に回った。みんな、「地元の映画だから」と快諾してくれた。およそ半年間に及んだロケでは、いつも天候と演者やスタッフの体調が気になった。「それも全部プロデューサーの仕事。中でもコンクールのシーンの撮影では、9月のまだ暑い時期なのに冬物の服を着て講堂に集まっていただき、本当にありがたかった」と近藤さん。

 西宮市フレンテホール(西宮市池田町)で11月14日に行われた試写会&ミニコンサートには約200人が訪れ、「2度3度と見たくなる映画だった」「いつも見慣れた場所が出てきて、西宮を舞台にした物語でうれしかった」などと好評を得た。コロナ禍のため、上映は来年3月、東京、神戸、大阪、京都で予定している。「本当に多くの方々に協力していただいた。おかげでエンドロールがエンドレスロールになってしまって」と、近藤さんは笑顔を見せる。

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