甲子園球場近くの「素盞嗚(すさのお)神社」に8月26日、台湾映画「KANO(カノ)」(マー・ジーシアン監督)に出演する2人の台湾人俳優が参拝した。
同映画は、日本統治時代の1931(昭和6)年、台湾代表として夏の甲子園に初出場。準優勝を果たした「嘉義農林学校」(通称=嘉農(かのう)、現在の嘉義大学)球児らの人間模様を描く。今年2月に公開した台湾でのヒットを受け、国内では来年1月から公開を予定する。
来日した2人は、陳勁宏(チェン・ジンホン)さんと曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)さん。いずれも球児役での出演といい、参拝は、境内が球場スタンドと接するほど近い同神社が野球関係者やファンらに親しまれ、「甲子園神社」「タイガース神社」といった愛称を持つことから映画のヒットなどを祈願してもらおうと決まった。畑中秀敏宮司によると、現地での公開後は台湾からの参拝客が増加。「もてなしのためにも現地の言葉を学んだ方がよいのではと考えるほど」と驚く。
当日は、2人が連れ立って同神社を訪問。絵馬を奉納し参拝後、「野球との関係が深い神社を訪れられたことに感激している。こうした神社の存在からも、日本人の野球好きがわかった」と話す陳さんの傍らで曹さんは、「子どものころから野球を続けている私にとって甲子園はあこがれの場所。出演のおかげで訪れられたことをうれしく思う。劇中で嘉義農林が出場した『夏の甲子園』決勝戦も観戦できた」と笑顔を見せた。
奉納した絵馬に「夢をあきらめないで」(陳さん)「(映画を見て)パワーをもらってほしい」(曹さん)などの言葉を残した2人は日本のファンに向け、陳さんは「映画のコンセプトは『あきらめない』。台湾ではその精神を伝えられたと思うので、日本の観客の方にも感じてもらいたい」。曹さんは「球場観戦で見る野球から得るものとはひと味違う感動を劇中の野球から感じてもらえれば。ぜひ映画館で見てほしい」と呼び掛ける。
畑中宮司は「台湾から訪れるファンには今後、当神社が『野球の神社』であることをもっとアピールすることができれば」と期待を寄せる。